第5章 Locations subject to rainbow
[俗臭芬々]2
「ウチの馬鹿の無礼を許して欲しい。それで?この私に何の用だ。聞いてやろう」
見た目の凛々しさとは対照的に彼女らしさのある優しい言葉に、奈々美は久しぶりに笑顔になった
「極秘の書類です。日番谷隊長から言付かって来ました。勿論中身は見ていないのでご安心を」
そう言ってマル秘書類の束を渡した
二番隊の二人はそれに驚いている
「極秘って…。何でそれを三席のお前が持って来てんだよ…?」
「大前田の言う通りだ。何故日番谷はこんな物を三席に渡したのだ。これがどうゆう事かアイツは分かっているのか…?」
疑いの矛先を冬獅郎に向けられ、奈々美は焦りを感じていた
「いやっ、あの違うんです!
日番谷隊長も直接こちらまで出向こうとしたらしいのてすが急な用事が入ってしまって…。
だから私が届けに来たのです。でも決して書類の中身は見ておりませんので」
「当たり前だバーカ。もしこれをお前が見てたら罰則が下る。まぁ場合によっては極刑もんだぜ?」
大前田は馬鹿にした言い方をすると、奈々美に向かい自分の突き立てた親指を首に持っていきそのまま引く真似をした
奈々美の顔が更に歪む
「黙れ大前田!!」
急な蜂砕の怒鳴り声にたじろぐ二人
すると少し間を置いてから喋り出した
「…取り敢えずコレは受け取っておく。だがこちらからも日番谷に言っておくが金輪際この様な事はないようにしろ。
どうやらそっちもワケ有りみたいだからな」
蜂砕は最後に奈々美の目に貼り付いているくまを見ると、踵を返した様に奥へと去って行った
「おう!そうゆう事だ。副隊長の俺でも片手で数えるぐらいしか蜂砕隊長の優しさ貰ってねぇからな!ありがてぇと思えよ。俺に!」
「…何で大前田副隊長に感謝をしなくちゃいけないんですか。蜂砕隊長だけで十分です。それでは」
一方的に突き返すと、奈々美は十番隊てへ帰って行ったのだった
俗臭芬々(ゾクシュウフンプン):下品な感じが盛んに漂うこと。俗っぽさが強く感じられること