第4章 Mighty Long Fall
[暗闘反目]2
(今度またあんな事があったら…)
その中でも特に奈々美心配している事
今までの嫌がらせは自分で何とか食い止める事ができていたが最近はヒートアップし、それが不可能になりつつあるのだ
それに、そろそろ冬獅郎や乱菊が気付いてもおかしくはない
何度もこちらから手を出そうとしてしまった事はある
だが自分の気をいつまで収められるかは分からない
それが怖いのだ
「あ、修兵さんお茶いりますか?ゆっくりしてってください」
一通り瀞霊廷通信を読み終わった奈々美は三人の元へと駆け寄った
「悪ぃな奈々美。俺まだ色んな所回んなくちゃいけなくて、それどころじゃねぇんだわ。だからまた暇な時にな」
奈々美の頭を優しく撫でると、じゃあ俺はこれで と言い残し、その場を去ろうとした
しかしその足は冬獅郎の呼びかけによって止まる事になる
「待て檜左木!今お前楠木の事奈々美って…」
その言葉にキラリと光る乱菊の眼光
「そうよ修兵。前アンタ奈々美の事普通に苗字で呼んでたじゃない。一体何があったのよ?」
「あ、それはですね、奈々美が俺の妹みたいだからですよ。何か小っこくてそんでもって可愛いからつい…。
分かります?この感じ」
「あー分かるかもー!」
こういう事を平然と言いのけ、何気に奈々美の肩を抱き寄せてる修兵に、その姿に共感し興奮している乱菊
だが一番冬獅郎が気に食わなかったのは修兵の言葉に満更でもない奈々美の姿だった
(…チッ。そんな顔を他の男に向けてんじゃねぇよ)
すると、冬獅郎は大きな音を立て席を立つと修兵と奈々美の目の前に来た
「…?」
グイッ
「きゃっ!」
冬獅郎の行動を見て不審に思った三人
だが彼は奈々美の手首を掴むと、すかさず自分の胸へと抱き寄せた
彼女からは小さな悲鳴が聞こえる
「楠木はお前のモンじゃねぇ。だからあんまベタベタ触んな」
この時の乱菊は更なる興奮をしていたというのは言うまでもない
暗闘反目(アントウハンモク):互いに敵意を現さないで争うこと