第4章 Mighty Long Fall
[感慨無量]2
「「………」」
突然の事で驚き、声も出ない二人
暫くその距離のまま二人は見つめ合った
瞬く間に上がっていく体温
紅潮する自分の頬
叫び続ける二つの鼓動
決して嫌ではないこの感覚が二人の空気を支配する
フワッ…
「!」
突然冬獅郎の香りが奈々美の鼻を刺激した
少し我に返って見ると、彼はまた更に自分の方へと顔を近付けて来ていた
(えっ、これって…)
その状況に関わらず奈々美は目を見開いた
でも別にこのままでも良いと本心で思えた
静かに目をつぶる
二人の唇が触れるか触れないかにまで縮まった
だが彼の唇は奈々美の唇を通過し、そのまま彼女の肩に頭を置く形となった
急に体重の掛かった右肩に、奈々美は閉じていた目を開け下に視線のみを向けた
「…その気にさせんじゃねぇよ…馬鹿…////」
彼の弱々しい声が夜空に響いた
感慨無量(カンガイムリョウ):深く身にしみて感ずること