第4章 Mighty Long Fall
[離合集散]2
「お前、今日ここに来て何回『すいません』って謝った?」
「えっ?さ、さぁ…分かんないです」
と言うか、日番谷隊長の勘に障るぐらい自分がその言葉を連呼している事に驚いた
「ハァ~やっぱ無意識か。お前らしくないぞ。楠木はあそこにいたくないのか?」
「そんな事は無いんですけど…。どうしてですかねぇ。なんかどうしても気を遣ってしまうんです」
私は頭を掻きながら、今自分が言える最大限の事を言った
でもやっぱり隊長はあまり納得のいっていない様子
「俺じゃ駄目か?お前だって俺の大切な奴の一人だ。支えてやりたい。俺で良ければいくらだって相談にのってやる」
本当は隊長にだって言いたい事は沢山ある
だけど今回ばかりは事情が事情だ
私が思い悩んでいると、日番谷隊長が突然私の頭に手を置いてきた
「悪かった。お前にそんな顔をさせる為に言ったんじゃねぇんだけどな。
ただ阿散井や檜左木なんかにも相談してたみてぇだから」
私も貴方にそんな顔をさせるつもりじゃなかった
これがもし本当に『恋』なら、とても難しい問題だと思う
私が眉を寄せて俯いていたら隣で日番谷隊長が立ち、まるで話題変える様に話し掛けてきた
「俺の用事は済んだ。さて、雛森も待ってる事だし帰るか」
「はい」
これがもし本当に『恋』ではないのなら
私たち三人の関係を繋ぎ留める事ができただろうか
離合集散(リゴウシュウサン):離れたり、集まったりすること