第4章 Mighty Long Fall
[暴君暴利]2
「あっ日番谷隊長お疲れ様で~す♡」
隊舎を抜け二人組の女死神に出くわしたと思ったら、彼女たちは以前奈々美に喧嘩をふっかけて来た者たちだった
「あ、おう…お疲れ」
(ったくもう何が『お疲れ様で~す♡』だ。自分たちだって媚び売ってんじゃないのよ。
言っておくけどね、あなたたちなんて、絶対隊長の眼中にないんだから)
「…あ、私今何てこと考えちゃったんだろ…」
「どうした?」
奈々美の独り言が上手く伝わってなかったのか、彼は奈々美に顔を近付けてきた
その様子を見て女二人は奈々美へ睨みを利かす
ドカッ
「う…っ」
二人がこちらへ近付いて来たと思ったら、すれ違い様にわざと奈々美へ肩をぶつけてきた
その唐突さと威力でその場でよろめく奈々美の体
今の状況に気付いていない冬獅郎に勘付かれないよう、なんとか足を一歩前に出し踏ん張る彼女
(私が隊長に言っていない事を良い事に…。やるのなら私が一人の時にやりなさいよね)
「ん?何か肩に当たったのか?大丈夫か楠木」
奈々美が肩を押さえ歪んだ表情をするので冬獅郎は少し心配になった
「あっいえ何も。日番谷隊長がお気になさる様な事じゃありません」
「…そうか?ならいいんだけどな」
(今はまだ日番谷隊長にこの事を知られるわけにはいかない)
奈々美の言葉に多少不審に思う冬獅郎だったが、彼女の思いを汲み取り、聞かないことにした
暴君暴吏(ボウクンボウリ):乱暴で、人の道に外れた行為をすること