第4章 Mighty Long Fall
[暴君暴利]1
午後の業務を早めに終わらせた冬獅郎と奈々美は、四番隊へ行く準備をしていた
「おい、楠木用意はできたか?行くぞ」
「はいっお待たせしまってすみません!今行きます」
パタパタと奈々美が駆けて行くと床の段差に躓いてしまう
「うきゃあっ!!」
「おまっ…危ねぇっ」
ドスっ
間一髪、奈々美は冬獅郎に受け止められる形で床に転ぶ事はなかった
「オイオイ。本当どんくせぇよな。こうゆう所では気をつけろって昔から言ってるだろ」
「…すいません」
言いながら預けていた自身の体重を戻そうとした刹那、冬獅郎が奈々美の顔を覗き込んだ
「どうした。お前、えらい顔赤くなってるぞ」
「…!、べっ別に何でもありませんし、赤くなんてなってません!」
その言葉に尚更赤面し、奈々美は冬獅郎を突き飛ばす様にして姿勢を整えた
(もう乱菊さんが『隊長の事好き?』とか聞いてくるから変に意識しちゃうじゃない!)
「そうか?ならいいんだけどよ。ホラ、今度はちゃんと周りを見て歩けよ?」
「…分かってますもん」
この時、冬獅郎は自身の手を差し出そうとするが、今の自分たちの関係を思い出し、その手を引っ込めたのだった