第4章 Mighty Long Fall
[審念熟慮]2
私は両手で頭を抱えた
ん?でも待って?
今奈々美は『男』って事しか触れてなかった
『愛』に関して一言も触れなかったのは、自分の気持ちを認めるって事?
「奈々美、私は真剣よ。絶対にはぐらかさないで頂戴ね。アンタは隊長の事が好きなの?」
少し脅した形になっちゃったけど、この子には大分プレッシャーをかけておいた
これで素直になるハズ
「…分かりません」
「…はい?」
自分でも少し顔が歪んだのが分かった
でも、『分かりません』という言葉は多少なりと奈々美の精一杯の気持ちを込めた言葉なんだと思う
「私、今までこうゆう様な気持ちになったの初めてなんです。それに隊長とは昔から一緒にいたわけだし、今更って言うか…好きになるならもっと昔から好きになってたと思うんです」
はぁ~ん成る程ね そりゃ正論だわ
物凄く赤面して目をあちらこちらに泳がす奈々美
初めてこの子のちゃんとした気持ちを言葉で聞いた様な気がする…
「だから、まだ私は自分自身の気持ちが分からないんです。でももしそれが乱菊さんの言う『愛する気持ち』だったら、私はどうすればいいんですか?」
「ん?…それじゃあ、自分の気持ちに素直になって、相手といる時間一分一秒を、一生の宝物にしなさい」
「…え…?」
あら、少し混乱させちゃったかしら?
「別に告白しろなんて言ってないわ。ただずっと一緒にいる時間は限られてるから、悔いのない様にしなさいって事よ」
「あ、そうゆう事か!ありがとうごさいます乱菊さん!」
この二人はずっと笑っていて欲しいから、私は二人の為なら何だってしてやるわ
審念熟慮(シンネンジュクリョ):十分に念を入れて考えること