第4章 Mighty Long Fall
[恐悦至極]2
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
注文が終わり、店員が去ったのを確認すると、乱菊は奈々美に尋ねた
「そう言えばさぁ奈々美ってどうして十番隊になろうとしたの?アンタ程の実力なら三・五・九の隊が黙っていない筈だけど。
もしかしてそれってやっぱり日番谷隊長が絡んでんの?」
「まぁ霊術院の頃から色々な所からお誘いは受けてきたんですけど、やっぱり直接的に言えば日番谷隊長が関わってますね」
それを聞くと、万遍の笑みを浮かべて、乱菊は詰め寄った
「ナニナニ~?じゃあ十番隊に入る為に他隊からの勧誘全部断ったの?そこまでして隊長の所が良かった?」
テンション高めな乱菊に対して、少し悩まし気な奈々美
「…昔桃ちゃんが一足先に護廷隊に入って、私と隊長で暫く二人でいたんです。程なくして隊長も死神になる事を決意して…。
私も二人に負けないように死神になろうって決めたんです」
そして奈々美はこう言葉を続ける
「日番谷隊長の入隊が決まった年に私も霊術院に入ったんです。その時に『俺は奈々美の事をずっと待ってるから。だからいつか絶対に俺たちの所へ来い』って言ってくれたんです」
「へぇ~いい話じゃない。隊長がそこまで言ってくれるのは絶対アンタだけよ」
「でも駄目なんです。私隊長の事考えると、胸がぎゅうってなって、苦しくなるんです。桃ちゃんの気持ちを知って尚更苦しくなる…。
私どうかしちゃったんでしょうか?」
ずっと思っていた疑問を乱菊にぶつけてみた
これでこのモヤモヤした感情の正体が知れる
奈々美はそう思った
彼女の胸の内を聞いて乱菊は微笑むと、机越しに奈々美へと近付いた
「それはね奈々美、アンタは隊長の事が好きなのよ」
恐悦至極(キョウエツシゴク):かしこまってまって喜ぶこと