第3章 Lonely warrior
[沈痛慷概]1
*奈々美side*
「…お前、阿散井にキスされそうになったって本当か?」
「えっ?!どうしてそれを」
何で日番谷隊長がその事知ってんの?
あの時寝てたんじゃなかったの?
「おい、さっさと答えろ。何でそんな状況になった」
しどろもどろして何も答えない私に嫌気が刺したのか、隊長は少しだけ声を荒らげた
(…どうしてそんなに怒ってんのよ。意味が分からない…)
「…知りませんよそんな事。それに大体キスされそうになったって確証はどこにも無いんですから。ただの乱菊さんの憶測で」
私が少しふくれ面で言っても、日番谷隊長の眉間の皺は深くなるばかり
ただその翡翠の瞳が私を捉えて離さない
今にも吸い込まれそうだ
「…してやるよ」
「え?今何て言いました?」
ボソリと隊長が呟いた言葉は私の所へは届かなかった
聞き返してみると、とんでもない言葉が返ってきた
「もしそれでお前が嫌な思いしたんなら、そんな事俺が一瞬で忘れさせてやる」
少し低めの甘い声
日番谷隊長を見ると、如何にも真剣な眼差しで私を見ている
「………」
暫しの沈黙
お互い視線を逸らす事なく見詰め続けている
私の心臓が何故か無性にうるさい
…あ、私隊長の言った事にドキドキしてるんだ…