第3章 Lonely warrior
[唇歯輔車]2
言いながら彼女に視線を向けると、彼女は目を細めて笑っているが、心配をしている様にも伺えた
「私は何事にも冷静で自分を持ってる隊長が好きだから」
「!」
(……ったく何が冷静だよ…。お前の所為で心臓バックバクだっつーの)
奈々美の笑顔を見てこう思うと腕組みをしながら冬獅郎はゆっくり言葉を紡いだ
「…ありがとうな。確かに少しヤバかった。ちょっとした責任感に追われててな。じゃあ今度は二人で行こう」
「はい!でも、今日は私が行くんで隊長は今日はそのまま自室で休んでください。明日もし都合が合えば二人で行きましょう」
「ああそうだな。悪い」
「なんか今日やっぱり隊長おかしいですよ。『ありがとう』とか『悪い』なんて日番谷隊長の言葉とは思えません」
「…わりぃかよ」
少し拗ねた表情で言うと、奈々美は声を上げて笑った
「ははっ!そんな悪いなんて滅相もないです。隊長のそういう言葉、聞けて嬉しいです。それじゃまた明日」
「ちょっと待て楠木」
奈々美が手荷物を持って執務室を出ようとした時、冬獅郎から静止をかけられた
『それってキスされそうになったって事ぉぉ??!!』
彼の脳内で駆け巡る乱菊が言った(と思われる)言葉
「…お前、阿散井にキスされそうになったって本当か?」
「えっ?!どうしてそれを…」
唇歯輔車(シンシホシャ):互いに助け合うこと