第3章 Lonely warrior
[内剛外柔]2
~~十番隊舎~~
「ちょっと!アンタ遅いと思ったらどうしたのその怪我?!」
十番隊の執務室に帰ると乱菊が焦ったようにこちらに歩み寄ってきた
彼女は珍しく書類処理をしていたのであろう、机の上が紙で溢れ返っている
「えへへ…ちょっと派手に転びまして。ってあれ?日番谷隊長はまた雛森副隊長の所ですか?」
執務室内を見渡して冬獅郎がいない事に気付いた奈々美は乱菊に尋ねた
「はー…。奈々美ってドジだったのね。まぁ察しはつくけど。
隊長はここにいるじゃない、アンタの目の前に」
乱菊の指さす方を目線で辿ると、そこには寝息を立てながらソファで眠る冬獅郎の姿
「…あ、寝てる。やっぱり昔と相変わらず隊長の寝顔は可愛いなぁ」
「やっぱり奈々美もそう思う? 普段はあんなに眉間に皺寄せてる隊長でも、寝顔はすっごく可愛いのよねぇ。あどけない感じがして」
最後に『こんな事言ったら絶対隊長怒るから言わないけど』と言い、ニヒヒと笑ってみせた
「奈々美が六番隊を行った後の話なんだけど、やっぱり隊長書類と睨み合いしてるうちに居眠りしててさ。私たちがやっとくんでいいですよぉって言っても、頑なに拒否するから仕方なく私がソファまで抱き上げて来ちゃった」
「ええっ?!隊長嫌がらなかったんですか?物凄いそうゆう事嫌いだと思うんですけど…」
「いや、かなり嫌がってたわよ。でも今の隊長の抵抗力なんてまるでないし。もし任務とか入ったらその体では持ちませんよって言ったら素直に寝たわ。
じゃじゃ馬の子供を寝かす様なもんよ」
(おっ、大人だ乱菊さん…)
奈々美が感激した様に乱菊を見詰めていると、彼女は奈々美の肩を持った
「さぁ!アンタもその腕の怪我、治療するから来なさい!」
そう言うと乱菊は奈々美を近くの椅子に座らせ、救急箱を持ってくると自分も椅子に座った
内剛外柔(ナイゴウガイジュウ):外見は穏やかように見えるが実際は意志が強いこと