第3章 Lonely warrior
[秘密裏]1
奈々美と恋次の二人は六番隊の執務室に来ていた
「お、良かったやっぱ人いねぇわ」
扉を開き誰もいない事を確認すると、彼は奥へと歩いて行った
「ここ本当に執務室?十番隊と全然違うんだけど…」
「俺がここに来た時はもうこうだった。どうやら朽木隊長が細工したらしい。やっぱ違うよな貴族は」
十番隊もそこまで古くはないのだが六番隊舎は造りの格が違った
恋次が奈々美に座るように促すと本題に入った
「んで?何だ相談って」
「うん。あのさ、恋次は桃ちゃんのお見舞い行った?」
ソファに座ると奈々美は酷く言いづらそうに言葉を投げかけてきた
「雛森?まぁ意識は戻ったみてぇだしな、見舞いにも行きてぇんだけど何分六番隊には使える三席がいないから忙しくて行けねぇんだわ」
「…そっか。実は桃ちゃんと日番谷隊長の事なんだよね。相談って」
「雛森と…何で日番谷隊長なんだ?」
恋次がこう聞くと奈々美は一つ間をおいて話しを始めた
「日番谷隊長最近変なの。朝昼晩の少しでも時間が出来たらいっつも四番隊に行ってて。食事の時間や寝る時間も惜しんで行ってるからさっき隊舎で倒れちゃって…」
「おいおい倒れたってマジかよ!大丈夫なのか?!」
「ううん全然大丈夫じゃない。私と乱菊さんで止めたんだけど、お前らには関係ないって言って行っちゃった。
…もう見てられないよ、あんな隊長」
自身の死覇装を握り、奈々美は俯いた
目からは今にも涙が出てきそうだ
「…雛森の具合はどうなんだ?お前は見舞いには行ってんだろ?」
「うん今日はまだ行ってないけど。桃ちゃん自身は日に日に回復してると思う。ただ…私が桃ちゃんの傍にいると桃ちゃん笑ってないの」
「笑ってない?何で」
「分からない!…分からないけど、直感でそう感じるんだ。話の内容も決して桃ちゃんの嫌がる話題じゃないと思うんだけど、なんか心が笑ってないの」
すると恋次が席を立ち奈々美の隣に腰掛けた
彼の体重が新たに加わり、ソファが沈む
「奈々美、もう雛森の所に行きにくくなっちまったか?」
「そんな滅相もない!確かに少し不思議には思うけど、もう百年近く付き合ってきてるんだから今更そんな事思わないよ」