第3章 Lonely warrior
[喪家の狗]1
『俺はこれからお前の事だけを考えてるから』
翌日、昼の時刻を知らせる鐘が十番隊に鳴り響いた
「もうこんな時間か。松本、楠木休んでいいぞ」
冬獅郎は席を立ち、扉に向かってフラリと歩いて行った
最近彼はとても窶れている
少しでも時間ができれば必ず桃の所へ出向いているからだ
それはたとえ自分の食事時間を削っても
ガターンッ
書類を片付けようと机へ視線を向けると出入口付近からこの様な音がした
二人が振り向くと、そこには散乱する物と床にうずくまる冬獅郎がいた
「「隊長っ!!」」
慌てて二人が近寄り奈々美が冬獅郎を支え、乱菊が落ちた本などを拾う
「日番谷隊長もう駄目ですよ!ろくに食べても無いし寝ても無いんでしょ?! 今日はもう雛森副隊長の所に行かないで休んでください!!」
「そうですよ隊長!もうあなたの体が持ちませんよ」
「…お前らには関係…ない」
奈々美に支えながらやっとのおもいで立つと、それでも冬獅郎は桃の所へ行こうと足を進める
「ちょっ隊長!!」
乱菊がとっさに静止を求めても、全く聞く耳を持たない彼は執務室を出て行ってしまった