第3章 Lonely warrior
[草木皆兵]2
「はー。そうだよね、昔からずっとシロちゃんは奈々美ちゃんの事しか見てなかったもんね。あの子の話しかしないのは当たり前だよ」
「…?、悪い、言ってる意味がよく分からないんだが」
「シロちゃん、私怖いの」
またもや遮られた言葉
だが冬獅郎は彼女の話に耳を傾けた
「…何がだ?」
「奈々美ちゃんが十番隊の三席に入隊して、ずっと一緒にいて。もうシロちゃんが私に会いに来てくれなくなるのを想像すると私、凄く怖くなるの」
「…そんな事しねぇよ」
「分からないじゃないそんな事!!
…ごめん」
桃がいきなり声を荒らげた事に驚いた冬獅郎は言葉を失ってしまった
「でも本当なの。今ここでシロちゃんを失ったら今度こそ私はもう生きて行けない。私の傍には貴方がいてくれるだけでいいの。それだけで希望が見出せる。
…こう考えてる私はヤな奴かな」
そう言うと桃の頬が自身の涙で濡れた
「しょうがねぇよ。誰だってそう思う時はある。お前の場合は近くにソイツがいないんだ。よっぽどそう思っちまうよ」
冬獅郎は自身の手で彼女の頬を伝う滴を拭うと優しく微笑んだ
「俺はこれからお前の事だけを考えてるから」
草木皆兵(ソウモクカイヘイ):酷く恐れること