第3章 Lonely warrior
[雲煙万里]1
「日番谷隊長!桃ちゃ…雛森副隊長が目覚めたというのは本当ですか?!」
翌日、その情報をいち早く掴んだ奈々美は朝執務室に冬獅郎が来たと同時に問い詰めた
「はっ早く行かなきゃっ!昨日やっぱり帰るべきじゃなかったんだ」
「止めとけこんな早朝に。行ってもきっと雛森の奴は寝てるぞ」
「あっそうか…。っていうか隊長知っていたのならその日に教えて下さいよ!」
「残念ながら目を覚ましたのは丁度日付が変わった頃でな。言いに行く余裕も無ければ暇もなかった。
それに、あの場合は尚更…」
冬獅郎は最後の方の言葉を濁らせたので不審に思った奈々美は問いてみた
「…あの場合と言いますと?」
「お前に教える義理は無い」
一瞬で返されてしまった返答
やっと先日途切れかけていた絆が修復しかけていた時に、再び起きてしまった事態
奈々美の心は切ない気持ちでいっぱいになった
(昨日の夜、一体何があったの?)
*****
ずっと桃の事が心配であった奈々美は自分の昼食時間にも関わらず、昼になると同時に十番隊を出て行った
四番隊舎に着くと直ぐに行き慣れた廊下を突き進み、彼女のいる七〇三号室を目指す
「桃ちゃん!!」
待ち切れず扉を思い切り開け放った所為か、中にいた者は驚いてこちらを凝視した
「……奈々美ちゃん?」
「楠木くんじゃないか。久しぶりだね」
「あ…吉良くん」
そう、病室の中には桃の他にイヅルがいた