第3章 Lonely warrior
[哀愁]2
「…シロちゃん。私どうしよう」
「…?」
桃は冬獅郎の死覇装の袖を強く握り締めると、彼に寄りかかった
「藍染隊長、いなくなっちゃった。それに吉良くんもシロちゃんも絶対に傷付けた。もう何の為に生きて行けばいいか分からない」
「雛森…」
「…もう私、どうしたらいいか分からないよ。シロちゃん…」
大粒の涙を流し、助けを求めた桃を見て冬獅郎は心が熱くなるのを感じた
「これからは俺がずっとお前の傍にいる。何事からもお前を護ってやる。そんで、もうお前がこんなに泣かなくても良いように俺がしてやるから。心配すんな」
フワリと冬獅郎の腕が彼女を優しく包んだ
この時のこの言葉はどれだけ彼女の中に強く響いただろう
「うん」
桃も安心したように微笑むと、涙を拭き彼に体重を預けた
真夜中の月明かりに照らされながら二人は抱き締め合った
そして、この瞬間から時を巡る運命の歯車が狂い出した事はまだ誰も知らない
哀愁(アイシュウ):寂しくもの悲しい気持ち