第3章 Lonely warrior
[哀愁]1
「お前、具合は大丈夫か?」
「…うんまぁ。ずっと寝てたし、まだ頭がボーッとしてるけど」
「そうか。それはしょうがねぇな。ちょっと待ってろ、今人呼んで来るから」
「ごめん、ちょっと待って」
部屋の明かりもつけず、真っ暗な病室は今日の満月の明かりだけが相手の顔色を認識できる唯一の方法だった
「…どうした?」
「藍染隊長が尸魂界を裏切ったのは現実…なんだよね。私、藍染隊長に刺されてずっと眠ってたんだよね」
「……」
「私、ずっと夢の中で考えてた。もしかしたら藍染隊長たちの一件は私が見てた悪夢の一種なんじゃないかって。でも違った。これは現実なんだよね?シロちゃん」
「…あぁそうだ。藍染たちは崩玉を手に入れる為に中央四十六室を暗殺し、朽木ルキアを極刑へと導き、そして雛森を刺して虚圏へ行った。全て事実だ」
「今までこうして眠っていたのは私だけ?みんなは大丈夫?」
「誰だって怪我はした。確かに今までずっと眠り続けていたのはお前だけだが。…みんなは冬の決戦に向かって動いているよ」
そう冬獅郎が答えると彼女は俯いた
病室に響く嗚咽を聞くと、泣いているのだろう
ポタポタと布団に落ちる滴は徐々に大粒のものとなっていた