第2章 Opening
[哀鳴啾啾]1
それから何日か経ち、奈々美も漸く書類整理や全ての業務や処理を覚えてきていた
~~四番隊舎~~
今も尚桃は眠り続けている
目覚めても良いはずだと宣告されてから一体幾日が経過したであろうか
日が完全に落ち、業務を終えた奈々美は桃の側にいて、彼女の手を握りながら自らもいつの間にか眠りについていた
「…んっ…。アレ私いつの間に寝てたんだろ…。駄目だな最近眠たくて」
「…起きたか」
「!、日番谷隊長」
病室には自分しかいないと思っていた為、後ろに冬獅郎がいた事に驚いた
「すいません私、隊長がここに来たのに気付かなくて爆睡してました。どうぞ椅子、使ってください」
元々一つしかない椅子を奈々美が座っていた為、必然的に冬獅郎は立っていた事になる
奈々美は慌てて立ち上がると冬獅郎に椅子に座るよう、促した
「お前が爆睡していた事は知ってる。実際、名前呼んでも起きなかったしな。椅子は有り難く使わせて貰う」
そう言うと彼は腕組をしながら椅子に座った
「…それと楠木、今日はもう帰れ。俺が付いてるから」
「え?そんな…。隊長の方が疲れてるでしょうし、自室でゆっくり休んでください」
「そんな心配はしなくていい。それに最近ずっとお前夜遅くまでここにいるだろ?寝不足と疲れが溜まってきてんだよ。あまり目の下にくまができると折角良い顔してんのに台無しだぞ?」
冬獅郎が目の下を指してこの言葉を並べたので奈々美の顔が自然と赤くなった
「…日番谷隊長って平気でそういう事言えるんですね。デリカシーが無いっていうか…」
(その言葉が本心だったらどれだけ嬉しい事か…)
「デリカシーもクソもあるか。俺は言いたかったから言っただけだ」
「ハイハイ分かりましたよ。隊長に良い顔って言われてもですけど。今日はお言葉に甘えさせて貰います。ちょっと流石にヤバイんで。私が倒れたら一番困るの隊長ですもんね。勿論書類とかの関係で」
お疲れ様です とだけ言い残し、奈々美は四番隊を去った