第2章 Opening
[哀鳴啾啾]2
「…あんだけ青い顔してりゃあ誰だって家に帰すだろ。ったく人をデリカシーないとか言いやがって」
『…冬獅郎』
奈々美が眠っている時に呟いた寝言
しっかりと冬獅郎の耳に伝わっていた
「…つうかあんなの聞いて襲わない自信なんてねぇよ…////」
冬獅郎の声が病室内に静かに消えていった
日付が変わった頃、冬獅郎もまた日々の疲れからうたた寝をしていた
「うっん…んっ…」
「!!!」
自分の声では無いものが病室に響き、冬獅郎は慌てて起きた
(…雛森が目覚めようとしてる…!)
「おい雛森。俺だ、日番谷だ!いい加減起きろ!こっちに戻って来い!!」
冬獅郎が彼女の所まで駆けていき右手を強く握った
「んっ…うっ」
彼女もまたうなされていた
「雛森がんばってくれ!…頼むから!!」
暫く経ち桃が再び静かに眠った事から、冬獅郎が諦めて握った手を離そうとした時、彼女の人差し指がピクリと動いた
「…!、雛森!」
「…シロ…ちゃん…?」
「…おせーよ馬鹿。起きるのが」
「…うん。ごめん」
この時の冬獅郎は酷く安心した顔をしていたであろう
哀鳴啾啾(アイメイシュウシユウ):鳥や虫たちが哀しげに鳴くさま