第2章 Opening
[無礼講]1
「奈々美昨日の夜、恋次と、吉良に口説かれてたじゃない」
「くどっ…違います!されてませんそんな事。ただ自分たちの事は普通に呼び捨てでいいって言われただけです!
っていうか乱菊さんあの時寝てたんじゃないんですか?!」
刹那、冬獅郎の手がピタリと止まった
「寝たフリに決まってんじゃなーい!私の酒豪度舐めないでよね。でも良かったじゃないお友達ができて」
「そうですね。お陰様で」
するといきなりソファから身を乗り出し一護が言ってきた
「じゃあさ、今日から俺も友達って事でいいよな?奈々美」
「勿論です!改めて宜しくお願いします。黒崎さん」
「“黒崎さん“ じゃねぇ。俺の名前は一護だ。あと俺別に護廷隊とかに入ってる訳じゃないから敬語とかいいからな。堅苦しいし」
昨日と今日で友と呼べる死神が沢山できたと喜んだ奈々美であった
*****
夕の刻となり日が傾き出した頃、一日の業務を終え帰宅する者の数も増えていた
「黒崎、お前いつまでここにいるつもりだ?」
こう言っているのは十番隊隊長、日番谷冬獅郎
人呼んで天才児
「へっ?俺?いいじゃねえか。別に仕事の邪魔してる訳じゃねぇし。それに俺一回見てみたかったんだよなぁ死神の仕事ってヤツを。十一番隊に行っても稽古ばっかだからな」
そう言うと一護はこちらに笑って見せた
「だったら目的は済んだ筈だ。現世にでもとっとと帰れ」
「ちぇーつまんねぇな冬獅郎は。それに俺今日は尸魂界に泊まるつもりで来たから!妹たちに夕飯要らないって言っちまったし。
あっ奈々美今日お前の家に泊まっていいか?!」
「えっ?!ウチですか?」
「あら、一護って意外と積極的ー♡」
「駄目だそんな事!!」
言われた張本人、奈々美を差し置いてピシャリと冬獅郎が言った言葉に三人が黙った
「…何で冬獅郎が言えんだよ、そんな事」
「…とにかく駄目なものは駄目だ。分かったな?楠木」
「ごめんね一護。私これから出掛ける所があるから夜中に部屋に帰る事になる。私の部屋に一人でいるのは嫌でしょ?」
「奈々美がいないんじゃ意味が無いからな。今日は諦めるよ」
ソファで姿勢を正した一護は天井を仰ぎ呟いた