第2章 Opening
[一期一会]2
冬獅郎が奈々美に視線を移すと、彼女は冬獅郎の後ろで背伸びをして中を覗こうとしていた
「すいませんどちら様がいらっしゃるのか確認したくて。大丈夫ですよ、ちゃんと聞いてますから。乱菊さんは私が見張っておきます」
奈々美が笑顔で返すと冬獅郎も微かな笑を浮かべ、自分の席へ戻って行った
そこで明らかとなるオレンジ髪の少年の正体
自然と目が合う二人
「…綺麗な髪の色。
…ハッ!すいません何私口走ってんだか」
一護のオレンジ色の髪の毛を見て思わず零れてしまった言葉
(今コイツ俺の髪綺麗って言ったか・…初めて言われた。ケンカ売ってんのかとは言われるけどな)
「奈々美、自己紹介ぐらいしたら?」
「あっそうですね。私、十番隊三席の楠木奈々美です。宜しくお願いします」
奈々美が頭を下げると一護は後頭部を掻きながらそれに答えた
「俺は黒崎一護。十三番隊の朽木ルキアの死神代行やってんだ。よろしく」
「朽木さんって六番隊の朽木隊長の義妹さんでしたよね。死神の代行って聞いた事ありますけど本当にいたんですね。じゃあこれどうぞ、名前にちなんで。お近付きの印に」
そう言って渡されたのはいちご大福
「…テメェいい度胸してんな。チビのクセに」
「チビは余計です。あとその大福美味しいんですよ。私も先程頂きました」
それを聞いた一護は一層眉間に深い皺を寄せながら大福を口に含んだ
「…結構ウマイかも」
「でしょ?!やっぱ黒崎さん分かってますねぇ。日番谷隊長もどうです?甘いのダメだったらお煎餅もありますよ」
「…今奈々美の事可愛いって思ったでしょ?」
「乱菊さんっ!どうしてそれを…」
奈々美が冬獅郎に話し掛けている隙を突いて乱菊が問いてきた
「でもねー覚悟しておいた方がいいわよ?吉良は分かんないけど恋次や修兵も狙ってるから。あの娘も罪な女ねぇ。ねー!奈々美」
「はい?」
最後呼び掛けられた事しか分からない奈々美
だが彼女のそのとぼけた顔も一護の気持ちを高ぶらせる要因となった
一期一会(イチゴイチエ):人と人の出逢いは一生に一度という心得