第2章 Opening
[距離感]3
「おっ、そうだった。俺お前の事普通に奈々美って呼んでいいか?お前も俺の事別に呼び捨てにしていいし。なぁ吉良?」
「うんそうだね。そっちの方がいい」
「いやでも、一応目上のお方たちですし…。呼び捨てなどとして良いものかと…」
「べーっつに気にすんなって。それに三席と副隊長ってそんなには変わらないだろ」
(結構変わると思うんだけど…)
「分かりました。早く慣れるように努めますね」
「おうっ!じゃあお疲れ奈々美」
それだけ言い残し、二人は去って行った
暫くして眠くなってきた奈々美は今いる隣の自室へ帰る為、立ち上がった
「あれ…。楠木じゃねぇか。こんな時間まで呑んでたのか ?」
「…あ、日番谷隊長」
(何げに今一番会いたくない人)
自室に着き扉の鍵を開けていた所、冬獅郎とはちあわせた
彼もまた奈々美同様に死覇装を身に纏っている
「何処かに行かれてたんですか?」
まだ少し執務室の事を根に持っていた奈々美は冬獅郎から視線を外し、再度行動に取り掛かった
「…まあな。雛森の所に」
その刹那、鍵を開け終わった奈々美の手が止まった
(こんな時間までずっといたんだ…)
「そうですか。早く目が覚めるといいですね。…それではおやすみなさい」
扉を開け部屋に入ろうとする奈々美に冬獅郎が静止をかけた
「…ちょっおい!」
「…何でしょう」
「お前もたまには行ってやれよ。…雛森の所」
「隊長がご心配なさらずとも、明日行って参ります」
バタンッ!!
荒々しい扉の締まる音がして奈々美は部屋へ入って行った
「…なにアイツあんなに怒ってんだよ…?」
二人の硬い絆はこの日を境にどんどん崩れてくのであった
距離感:相手に対して、心の隔たりがあるという気持ち