第2章 Opening
[距離感]2
(あんなに呑んだのにちっとも酔ってないないように見える。私はお酒にめっぽう弱いからな。ちょっと憧れちゃう)
「ん…?何だ。何か付いてるか…?」
じぃっと奈々美に見詰められて恥ずかしくなった恋次は、紅潮した頬をバレない為に手で覆い彼女に尋ねた
「…ハッ!すいませんつい見入っちゃって…。皆さんお酒に強いですね。ちょっと私ビックリしちゃいましたよ」
少し自分を気にかけてくれるのかと期待した恋次は一人こっそりと肩を落としていた
「ハハッ!楠木くんは驚いて当然だよ。僕らだって伊達に松本さんに鍛えられてる訳じゃないからね」
元々色白なイヅルは酒のお陰もあって、やっと普通の黄色人の肌になっている
「…んもうムリー!これ以上は呑めないわよ私はぁっ…」
突然イヅルと恋次の間から叫びたした乱菊
起きたのかと確認してみてもやはり彼女は眠ったまま
「ったく寝言かよ。ヒビッちまったじゃねぇか」
「しょうがないよ阿散井くん。松本さんも市丸隊長がいなくなって気が気じゃなかっただろうし。だから今日のは良いストレス発散になったんだよ」
「…そうだな」
本人たちから聞いた事だが彼らと桃は院生からの同期らしい
市丸隊長という単語が出てきた事に驚いた奈々美だったが、笑って話している二人を見て自然と笑顔がこぼれた
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十番隊の寮に着き、四人は乱菊の部屋に立ち寄った
「ふぅー疲れたな。楠木、このままだと明日多分乱菊さん二日酔いだからな。日番谷隊長の怒りを収める文句、考えとけよ」
取り敢えず布団に彼女を寝かせ恋次が奈々美に言った
「そうですね。肝に銘じておきます」
スクリと微笑む奈々美を見て二人の心臓が高鳴った
「じゃあ私もうしばらく乱菊さんの事見てるんで、お二人はお帰り頂いても大丈夫ですよ」
「そう?じゃあそうさせて貰うよ。君も明日勤務だろ?早めに部屋に帰りなよ」
返事の代わりに笑顔で返す奈々美