第2章 Opening
[宴会]1
居酒屋に入って行った乱菊たちは、店の者に一番奥の個室へと案内された
部屋に近付く度に大きくなってくる声
それは全て男性のものだった
「…うるさっ。アイツらもう始めてるわね。ったく今回の主役も今来たって所なのに」
「あの乱菊さん、今回のってもしかして私の為に開いてくださったんですか?」
奈々美が乱菊へ視線を送ると、彼女は奈々美を横目で見た
「そうよ?まぁ呑み会も最近色々あってやってなかったし。アンタの紹介もしておきたいし」
「…そうですか。ありがとうございます」
奈々美が心底嬉しそうに笑うのを見て、乱菊も微笑んだ
「お待たせ致しました。こちらになります」
どうぞごゆっくり とだけ残し、店の者は去って行った
部屋の前ともなれば耳を塞ぎたくなる程の声が廊下にまで響いていた
「いい?奈々美。野獣共には気を付けなさいよ」
「…え?」
乱菊はそれだけ言うと思いっ切り襖を開けた
奈々美の声はそれに掻き消され空間の中に消えていった