第2章 Opening
[不満]1
珍しく乱菊が業務に参加していた事もあって、終業の時には一応全ての書類処理が終わっていた
「やぁっと終わったぁー!もう体が糖分を全力で欲しがってるわ!まぁ私の場合糖分も全て乳に行くんだけどさ。
ねぇ奈々美何か甘いモン持ってない?」
「あっ、金平糖なら持ってますよ。乱菊さんなら本当に胸に行ってそうで怖いですよ」
そう言うと奈々美は引き出しから金平糖の入っている袋を取り出し、乱菊に手渡した
「ありがとー!もう隊長が五番隊の書類も引き受けて来るからこっちが大変ですよ」
「しょうがねぇだろ。唯でさえ藍染がいないのに雛森が意識不明の状態なんだ。このままだと五番隊が機能しなくなっちまう」
(やっぱり五番隊の書類も入ってたんだ。日番谷隊長って昔から何だかんだで優しいんだよね。目付きは怖いけど)
「…何か言ったか楠木」
「ちょっとぉ。自分が思ってる事を声に出しちゃうってどんだけアンタ天然なのよ」
「ふぇっ?今私全部声に出てました…?」
「「出てた」」
「えぇー!!そんなぁ。ごめんなさい本当に」
「別にいい。…ただ、それがお前の本音だった事は良く分かった」
「違うんです!…いや違くないけど。でも優しいってちゃんと言ったじゃないですかぁー!」
「アハハ!本当奈々美ってからかい甲斐ありすぎ!でももう時間だから行くわよ。隊長、もう上がっていいですよね?」
(…隊長が悪ノリしてくるの初めてかも。もしかしてやっぱり相手が奈々美だからかな。この二人結構イイ感じだと思うんだけどなぁ)
「あぁお疲れ。明日からも頼むからその調子でやってくれよな」
「はぁいわかりましたよ。多分ですけどね」
適当に返事を返すと乱菊は奈々美の腕を引き扉へと足を進める
「おまっ…!」
ガタリと音を立てながら冬獅郎が椅子から立つと、不意に奈々美と目があった
「お疲れ様でした。日番谷隊長」
「…おう。お疲れ」
やはり奈々美から目を反らす
奈々美はフンと鼻を鳴らすと、乱菊に腕を引かれながら足早に隊舎を去って行った