第6章 NOTICE
[朝雲暮雨]1
「あれ…?誰もいない」
桃に言われ、急いで十番隊に戻って来た奈々美だったが、執務室の中には冬獅郎の大きな霊圧以外は何もなかった
(日番谷隊長、ここに来たのかな?)
奈々美は執務室を出て、他の部屋も手当たり次第に探し出した
「どこにもいねぇ…!ハァ…ハァ」
一方冬獅郎は未だ奈々美の捜索に追われていた
隊舎は勿論、寮や霊圧を辿り四番隊まで行ったが、彼女に会える事はなかった
「畜生知らみ潰しに探してみたが限界だぞ!一体どこにいるんだアイツは」
滲み出る汗を拭うと、冬獅郎は再び霊圧の探知に入る
すると、ある一方の方から彼女のそれが感じ取られた
「この方向は隊舎じゃねぇか!あの野郎戻りやがったな」
小さな少年は愛する者の為に走る
その頃奈々美はまた執務室の方にいた
取り敢えず隊舎内は巡回したが、定時の時刻をとっくに過ぎた今は、隊員はみな帰宅後だったのだ
「何で誰もいないのぉ?本当にここで合ってんだよねぇ?」
それより待ってる人が一体誰なのか、奈々美の頭には疑問ばかりが浮かぶ
そこに━━━…
「楠木いるか?!」
冬獅郎が来た
「えっ日番谷隊長どうしてここに?」
奈々美は彼のただならぬ必死さと汗の量に驚いた
だが彼は彼女の言葉を無視し、ズンズンと奥に突き進み、目の前で止まった