第6章 NOTICE
[朝雲暮雨]2
「日番谷隊長…?」
「好きだ」
奈々美の言葉を遮る様にして言い切った
だが彼女はまだそれが理解できていない様子
「……はい?」
「だーかーらー!お前の事が好きだ。昔から、ずっとな」
「だって、隊長好きな人がいるって桃ちゃんが…」
段々と彼女は涙声となり、遂には泣き出してしまった
「って事はお前今まで四番隊行ってたんだな?雛森の言ってた事は…アレだよ、お前の事を言ってたんだよ。
つーか何で泣いてんだ?」
「ひっく…桃ちゃんそんな、ひっ、事…言ってなかった」
冬獅郎は奈々美の涙を拭ってやると、そのまま抱き寄せた
それに応じて奈々美も彼の腰に腕を回す
「とにかく雛森は俺の背中を押してくれた。良い奴だよアイツは。だから今こうして俺は楠木に気持ちを伝えられてる」
冬獅郎も喋る事を止め、奈々美の鼻をすする音が部屋中に響いた
「…俺がこんな事を言ってもまだお前は上司として俺の事を見るか?」
「…当たり前じゃないですか」
その返答に彼女を抱き締める彼の腕が一瞬緩んだ
(…やっぱこうなっちまうのか…)
そう思って奈々美を自分の腕から離そうとするが、それは笑いながら言う彼女の次の言葉によって現実とはならなかった
「日番谷隊長が上司という事には変わりません。でもこれからは『恋人の日番谷冬獅郎』を見ていきたいです」
(…言ってくれんじゃねぇか)
「やっぱサイコーだよ、お前」
冬獅郎もまた微笑むと、引かれ合う様に二人は唇を重ねた
朝雲暮雨(チョウウンボウ):男女の契り、情交をいう