第6章 NOTICE
[茫然自失]1
冬獅郎と桃はそまま下に俯いた
彼は気持ちを伝えると言いながらも、それを言葉にできないのか黙ったままだ
少しの間が空き、やっと冬獅郎が言葉を紡いだ
「…ずっとお前の気持ちに気付いてやれなくてゴメン。正直雛森が俺の事好きって言ってくれた時、少し嬉しかった。
勿論お前の事を好きか嫌いかって言ったら好きに入る。
でも…お前の事を今まで以上では見れない。本当にゴメン」
今までずっと下を向いてきたが、突然顔を上げた
「俺は、楠木の事が大好きだから」
これを言う為に
桃の目は一度外を眺めたが、すぐに冬獅郎へと戻って来た
「やっとあなたの口からその言葉を聞けた」
「え…?」
「シロちゃんあのね…この前の告白、取り消して欲しいの。もうシロちゃんの事そうゆう風に思ってないから」
「……へっ?」
冬獅郎は珍しく阿呆面を浮かべた
それもそうだろう、何せあそこまで迫られてキスまでされて、それで自分にフラれる様な事までして
挙げ句の果てに告白を無かった事にしろだなんて
一体誰がこんな事予想できただろうか
「オイオイ待て待て…。しっかり説明して貰おうじゃねぇか」
最早怒りも焦りも通り越して、普通に対応する冬獅郎
今回一番彼女に振り回されたのは、もしかしたら彼なのかも知れない