第6章 NOTICE
[咀嚼玩味]2
~~四番隊舎 七○三号室~~
扉の前で深呼吸をする
雛森だってきっと勇気を振り絞って俺に言ってくれたんだ
俺もそれに応えなきゃいけねぇ
ノックをし、静かに扉を開ける
「…雛森…?」
「えっ、何でシロちゃん?!奈々美ちゃんじゃなくて…」
「はっ?」
何で俺が驚かれなきゃいけねぇんだ?!
いやだって、俺がここに来るのは当然であって…ってか楠木ってどうゆう事だよ
「お前…楠木を呼んだのか?」
「うん。今日のお昼に。でも、直接は無理だから乱菊さんに頼んだの。乱菊さんも直ぐに伝えるって言ってたのになぁ」
…そうゆう事か
大体の話の内容が掴めてきたぞ
雛森は松本に会う為にわざわざ十番隊にまで四番隊隊員を寄越して来た
そこで雛森は『楠木に会いたい』って松本に言った
だが『直ぐに伝える』と言った松本は昼から一度も隊舎には帰って来ていない=伝えてない
そりゃあ雛森が驚く訳だ
つうか松本は本当に何してやがんだ!
信用問題だぞ!
「悪いが松本は昼から隊舎に帰って来てねぇんだ。楠木と話がしたいのなら呼んでくるぞ?どうせまだ隊舎だろうし」
「ううん大丈夫だよ。ちょっと順番が狂っちゃったけど。それよりシロちゃんは私に言う事があるんじゃないの?」
そう言う雛森の目はもう全てを受け止めている様な感じがした
俺がこれから言う事も含め、全部
「そうだったな。言うよ、俺の気持ちを」
咀嚼玩味(ソシャクガンミ):食べ物をよくかみこなし、よく味わう