第6章 NOTICE
[参差錯落]2
今シロちゃんの言葉を聞いて何となく分かった
多分だけど、奈々美ちゃんは既にシロちゃんを好きになった
あの子とは暫く会ってないし、そうゆう話は勿論伝わって来ないから知らないけど
私の名前を聞いた途端に身を引いたのならば、そうだと思う
奈々美ちゃんだって遠慮する必要ないのに…
「それは、シロちゃんは私を守ってくれればいいって事じゃないのかな?」
「でも俺は楠木といてぇんだよ」
この言葉は決定打だ
『守りたい』でもなく『支えたい』でもなく『一緒にいたい』はこれ以上ない私的言葉だ
「…シロちゃんは奈々美ちゃんの事どう思ってるの?」
「どうって…。
最初は今までの幼馴染みとしての記憶をリセットするのに必死だった。さっきも言ったが、部下以上は見てはいけないって思っててな。
でも、今回の事があってやっと気付けた。部下や幼馴染み以前に…」
「ごめん。私から話を振っておいて何だけど、それ以上は聞きたくないかな…?」
この後のシロちゃんの言葉を聞いたら、また私は卑屈な考えに走ってしまいそうだったから止めさせて貰った
━━━自分の気持ちを伝えるのなら今のうち
貴方がここから離れてしまう前に━━━
「シロちゃん」
「どうした?」
告うんだ
「奈々美ちゃんはきっと、シロちゃんの事が好きだよ。…でも、私はそれ以上に貴方の事が好き」
「…え…?」
彼の目を見て告った
正直今のシロちゃんの反応は奈々美ちゃんに対してなのか、私なのかは分からなかった
…多分二つ含めての言葉だったのだろうが
「何度だって伝える。私は好きなの。シロちゃんが」
そう言って彼の死覇装の襟を持ち自分の所へ引くと、私は彼の唇に自らの唇を重ねた
踊れ
狂え
そして最後は
私の掌に
戻って来て
参差錯落(シンシサクラク):色々のものが、不揃いに入り交じっている様子