第6章 NOTICE
[複雑蟠纏]2
「シロちゃんどうしたの?そんな不機嫌で」
同時刻、冬獅郎は四番隊の桃の所にいた
その場に来たはいいが、眉間に深い皺を寄せ、一言も言葉を発しない彼の様子に桃が不思議がるのは妥当である
「ん?ああ…。悪いな。俺そんなあからさまだったのか。ちょっと楠木に色々あってな」
今度は桃の顔色が暗くなった
その先はあまり聞きたくない筈なのに、嫌なくらい言葉が出て来る
「…何かあったの?奈々美ちゃんに」
「聞いてくれるのか?…まぁそりゃあ幼馴染みだもんな」
乾いた笑みを浮かべると、冬獅郎は喋り出した
「…嫌がらせされてたんだ。他隊の奴に、ずっとな…」
「え…?」
「俺も薄々気付いてはいたんだが、知らない内にアイツに俺は壁を作ってた。『今は自分の部下なんだから、それ以上で見てはいけない』ってな…。
でもその所為で今日楠木は大怪我をして、そんで死にそうになった」
急な話の展開に桃の頭は着いていかれなかった
「一体何があったの?死にそうになったってどうゆう事?」
「相手が暫魄刀を抜いていたんだ。俺が間一髪で止めたがな。
理由は単なる僻みだ。いきなり三席になった楠木に対してのな」
その言葉を期に、二人は再び黙り込んだ
複雑蟠纏(フクザツバンテン):渦巻くようにもつれて、入り組んでいて理解しにくいこと