第6章 NOTICE
[渇仰随喜]2
これを言葉にしてしまったら自分自身の素直な気持ちに気付いてしまう気がする
でもこれは真実だし、私はこの気持ちを知らなくてはいけない様な気もする
意を決した私は前を見据え、静かに言葉を紡いだ
「…ずっとずっと夢だったんです。雛森副隊長が入隊し、日番谷隊長も死神を目指す様になってから、いつかそんな二人の側で自分も働けたらな・って」
その時の日番谷隊長は言葉を挟んで来る訳でもなく、相槌を打つ訳でもなく、ただ無言で私の話を聞いていた
その所為か、スラスラと私の中から言葉が出て来る
「でも一番は日番谷隊長と一緒に働きたかった。ずうっと一緒にいて、一緒に難も乗り越えて。それでたまに怒られたりして」
言葉にすればこんなに素直になれるんだなぁと思う
そこに過去の言葉たちが一斉にフラッシュバックして来た
『貴方の下で働くのが私の夢』
それ以前にずっと一緒にいたいって思ってた
『アンタは隊長の事が好きなのよ』
あの時は人を好きになると言う概念が私の中には無かっただけだ
『お前に少し話たい事があるんだ。行くぞ』
四番隊で二人の空間から逃げ出したかった私の手を引いて救ってくれた事が凄く嬉しかった
『お前は無かった事にしてるかも知んねぇけど、俺はそんな事はしない。むしろあのままで良かったと思ってる』
私だってあのままで良かったと思ってる
だから目を瞑って受け入れたの
日番谷隊長が好きだから
分かった 私、日番谷隊長の事が好きなんだ
これは尊敬とかの意味じゃない
だってもしこれが尊敬だったらこんなに苦しくならないもん
でも決して嫌じゃいし、苦にならない
私は日番谷隊長が好きで、好き故にずっとこれからも一緒にいたいって思う
ずっと一緒にいて、一緒に難も乗り越えて
それでたまに怒られる
そんな日々をこれからも願ってる
『すき。貴方が』
━━━気付いてしまった 自分の気持ちに━━━
渇仰随喜(カツゴウズイキ):人の行動や姿に好意を寄せ、心から憧れ慕うこと