第6章 NOTICE
[慧眼無双]2
私は焦った
六番隊の人たちの事も考えてあまり大事にしたくなかったのに
「ちょっ…日番谷隊長っ」
「うるさい。お前はいつまでそうやって嘘をついてる気だ!大体お前が嘘をつき通しても卯ノ花は全部分かってる!」
卯ノ花隊長に視線を移してみると、そこには私の事を全て見透かしている様な瞳があった
やっぱ流石だなぁ隊長は
…って事は日番谷隊長も知ってたのかなぁ…
「すいません日番谷隊長、その『人』って誰の事なんですか?」
いつもの様に眉を下げ心配している様な雰囲気で虎徹副隊長が尋ねた
「ああ、言っても良いが、他言無用で頼む。
……六番隊の女の席官二人組だ。奴らは俺が駆け付けた時には斬魄刀さえも抜いていた」
「六番隊って朽木隊長の…!何て酷い事を」
全てを話されてしまった
あの情景を思い出すだけで目まぐるしい吐き気と左腕の激しい痛みに襲われる
でも、あの時刀を抜かないで本当に良かった…
「取り敢えず治療は終わりました。ですがいつまた彼女たちの様な輩が襲って来るかは分かりません。
日番谷隊長、出来る限り楠木さんに連れ添ってあげてください」
「…そのつもりだ」
四番隊での腕の治療が終わった
また散々隊長たちに迷惑掛けちゃったなぁ
帰りの道のりは二人共一度も言葉を交わさなかった
私がふと日番谷隊長を盗み見ると、彼は何か考え事をしている様に見えた
「楠木、隊舎に入る前に少し話さないか?」
これを言われたのは十番隊隊舎が目の前にまで近付いた時の事
私は軽く首を縦に振ると近くにあったベンチに二人で腰を下ろした
慧眼無双(ケイガンムソウ):物事も真偽、善悪を見抜く眼力が非常に優れていること