第6章 NOTICE
[緊褌一番]2
「ガハッ!ゴホッゴホッ」
突如、倉庫の中からこの様な楠木のむせる声が聞こえてきた
その苦しそうな様子にいたたまれなくなった俺は、急いで倉庫の中を覗く
「!!」
その中には背を向けて前こそ見えないが、自身の死覇装を肩甲骨下まで下げている楠木の姿があった
「…ひつがやたいちょ…」
いつもより甘い声に上目遣いで、顔だけこちらを見る彼女の姿に俺の頬は自然と紅潮していく
引き下げた死覇装から覗く白い肌と身体のラインは更に俺を興奮させた
(やっべぇ色っぺぇ////)
「わ、悪い!別に覗くつもりじゃなかったんだが…」
この俺の苦しまみれの言い訳にも関わらず、楠木は自身の着崩れた死覇装を着直すと、笑いながら立ち上がった
「大丈夫ですよ!日番谷隊長が私なんかに興味がないのは分かってますから。ただちょっと胸に付いた傷を治してたんです」
そう言うと楠木は自分の胸の傷付いたであろう部分をさすって見せた
…残念ながら俺はオメェに興味を持ちまくってんだよ
楠木が倉庫から出て、明るみに出てから初めて気付いた事
それは外傷は愚か、破れていたであろう死覇装まてもが綺麗に再生されていた事だ
「お前…それ全部鬼道で治したのか?」
「はい!左腕は骨をくっつけるまでですが。私、こうゆう系の鬼道は得意なんです」
アハハと笑って見せる彼女
そう言えば楠木が入隊した後に改めて入隊書類を見たら攻撃系の鬼道より医術系の方が著しかった
かと言って攻撃系の方も剣術の方も別に申し分ないのだが
雛森は鬼道の達人と言われているが、それは攻撃系の方が殆どだ
という事は医術系統はコイツは雛森を越すのか
スゲェ事だな
「日番谷隊長?どうかなされましたか?」
心配そうに俺の顔を見上げる楠木
俺はそんな彼女の頭を優しく撫でると、さり気なく手を繋いだ
「…取り敢えず心配だから四番隊に行こう」
緊褌一番(キンコンイチバン):心を引き締めて奮い立つこと