第5章 Locations subject to rainbow
[狂悖暴戻]2
「こぉんな罠に引っかかるなんて十番隊の三席も落ちぶれたもんよねぇ」
「それ、アタシのもんだから返してくんないかな」
そこにはいつかの六番隊の二人組がいた
だったらここは六番隊の倉庫なのかと思ったが、何も自隊の倉庫で喧嘩をふっかける事はないだろうと言う事で奈々美はそれに関しての散策は止めた
「…伝令神機は現世の任務が終わった時に技術開発局に返却するものですよね?
それを今どうしてあなたたちが持ってるんですか」
「アンタには関係ないわよ。いいからそれを返して」
手を差し出す彼女を見て、奈々美は二人の所へ近寄るとそれを手渡した
女二人は奈々美が伝令神機を手渡したのと同時に床へ突き飛ばした
ズサァッ
「いった…」
「アンタさぁ人が良すぎんじゃない?今までのいやがらせも上にチクらないし手も出して来ない。
それに返却しなくてはならない物を未だに持っている奴がいてそれさえも見逃そうとしてる。
アンタみたいな新人が隊長格に色目使ってる所も勿論嫌いだけど、そうやって自分さえ我慢してればいいって考えてる平和主義な所はもっと嫌いなのよ!!もっと人間らしくなりなさいよ!」
彼女たちの言葉に目を見開いた
しかし、直後に腹部に強烈な痛みが襲って来た為、それ以上は何も考える事は出来なかった
「助けを呼びなさいよ!泣き喚けばいいじゃない!大好きな日番谷隊長が来てくれるかもよ?!」
「………っ」
声を出したくても出せないのだ
腹はやられ、喉を押し潰されてる
鈍く、何かが砕けた音が鳴り響く
恐らく腕の骨が折れたのだろう
奈々美の意識は次第に薄らいでいた
「喉潰しちゃったもんね。声も出ないか」
「ねぇ、どうせなら最後までやっちゃわない?」
そう言うと、勢いに身を任せた二人は自身の斬魄刀に手を掛けた
「!!」
その言葉を聞いた刹那、奈々美の朦朧としていた意識が現実へと引き戻される
(…ここで殺らなければ殺られるだけだわ…)
重たくなった体を無理矢理起こし、彼女も斬魄刀に手を掛けたのだった
狂悖暴戻(キョウハイボウレイ):道理に反するほどに狂おしく、乱暴であること