第5章 Locations subject to rainbow
[破邪顕正]2
冬獅郎の言葉の後にしばしの沈黙があった
気になって下に向いていた視線を上げると、目の前にはアホ面をしている乱菊の姿
「…ほぇ?隊長今何て言いました?もっかい!」
「なっ!阿呆か!!そんな面してる奴には二度と言わん。さっさとどこか行け!」
今までの礼儀の良さは一体何処へ消えたのだろう
冬獅郎が叫ぶ際に机を叩きながら立ち上がった時、すかさず乱菊の豊満の胸の攻撃が彼を襲った
「んもぅ~っ隊長素直じゃないんだからぁ!はい、仲直りの印っ」
「やっ止めろ松本!苦しいから…っ」
結局いつもの二人に戻った
無理やり彼女を押しのけ、冬獅郎は肩で息をしている
「ハァ…ハァ…。おい楠木そこにいるんだろ?入って来いよ」
ガララララ…
「すみません立ち聞きするつもりじゃなかったんげすけど、お茶が早く出来てしまって…。でもよく分かりましたね。霊圧閉じてたつもりだったのに」
遠慮がちに扉を開いた第三者は奈々美だった
彼女の持っている盆の上にはまだ湯気がたっている湯飲みが三つ乗っている
「アラッ奈々美いたの?!私全然気付かなかったわよ!」
「隊長の俺が隊員の霊圧分かんねぇでどうすんだよ。それにお前はまだ完全に閉じきれてねぇしな」
「…日々精進して参りたいと思います。でも良かったですね乱菊さん!」
奈々美が笑顔で言うと、乱菊にも自然と笑顔が綻んだ
「アンタのおかげ!ありがとう!」
その後は三人で少し温めのお茶を飲んだとさ
破邪顕正(ハジャケンショウ):誤った考え方を打ち破って、正しい考え方を明らかにすること