第5章 Locations subject to rainbow
[実践躬行]2
途端、曇る雛森の顔色
今更だけど確信犯ね
「…え?私が日番谷くんと奈々美ちゃんを?一体どうして」
「とぼけないで!アンタの我が儘でね、幼馴染みの二人が大迷惑してるの。本人たちは優しいからそんな事は思ってないだろうけど。
隊長は雛森の所へ来れる様にするために書類を大幅にカットしてるわ。でも分け与えられた書類は必ずやらなくちゃ駄目よね。
一体誰がその分の書類をやってると思う?」
「………?」
「答えられないわよね。その分の書類は全て奈々美がやってんのよ。アンタが拒絶した奈々美がね。
お陰であの子は今痩せこけてるわ。他隊の、それにあまり関わりのない死神たちにも心配されまくってる。
雛森はこれ聞いてどう思う?」
本当はもっと言いたい事はあったけど歯止めがきかなくなりそうだから止めておいた
私が言った事に相当なショックを受けたのか、雛森はわなわなと震え泣いていた
「…そんな…私、そんな事…」
━━━ねぇ雛森、アンタのその涙は本物だと信じていいのよね?
「アンタ、隊長の事が好きなんでしょ?」
「…それは奈々美ちゃんから聞いたんですか?」
ハァ~…まいった図星だったか
まぁあそこまで隊長に執着してれば普通にその考えになるか
「あの子からは何も聞いてないわよ。だから苦しんでるんでしょーが」
「そうですよね」
「本気なの?」
「はい。私は日番谷くんの事が好きです」
「そう。だったらそんなセコい真似ばっかしないで正々堂々行きなさい。
まぁ悪いけど私は隊長と奈々美にくっついて欲しいって思ってる人だから」
それでも言いたい事は大体言えたし、帰りますか
「乱菊さんってやっぱり頼りになるお姉さんですね!」
全く、自分の事じゃなく人を応援するって言った人に向かってそんな笑顔向けるのって一体どんな神経してんのよ
まぁでも
━━━いい度胸してんじゃない
実践躬行(ジッセンキュウコウ):実際に自分自身でしっかりと実行すること