第5章 Locations subject to rainbow
[容貌魁偉]2
「…松本」
「…はい…」
俺の霊圧が段々と上昇して行く
松本の冷や汗が目立った
「今回は大目に見てやる。だが今度一回でも俺にそんな口を聞いてみろ。…分かってるな」
「…申し訳ありませんでした。外で頭を冷やして参ります」
余程悔しかったのか、松本は見た事もない程の皺を眉間に寄せ、執務室を出て行った
今こうやって少し冷静になってみれば、いかに松本が俺に真剣にぶつかって来てくれたのかが一目瞭然で分かる
それを俺が権力という最低な方法で跳ね返してしまった
俺はどこまで餓鬼なんだろう
アイツらの上司失格だ
そこによく知った霊圧が近付いてきた
「日番谷隊長、只今戻りました」
楠木だった
痩せこけた頬に、貼りついたくま
それに先程松本が言っていた言葉全部が俺の脳を支配する
ったく俺はどんだけ部下に世話を焼かせりゃあ気が済むんだ
「お前からは何も聞くな。俺の問いだけに答えてくれ。自分勝手なのは分かってる。だがはっきりしておきたいんだ」
この質問に正統な理由なんてものはない
どんな結果でも俺は受け止める
楠木にとっての俺は何なんだ
「私は、今は日番谷隊長の事を自分の上司としか思ってません」
鉛が頭上に落ちてきた様な衝撃を受けた
一応最悪の場合を考えて賭けに出てみたが、それでも俺にとっては十分残酷な結果となった
「…どうして?」
「理由てすか?そうですねぇ。私も最近気付いたのですが『幼馴染みの日番谷冬獅郎』は私がここに入隊した日に既に止まっているんです。
今は上司だから今度は『日番谷隊長』としてあなたを支えたいんです」
コイツの言っている事は妥当なのに、どうして俺はこんなにショックを受けているのだろう
容貌魁偉(ヨウボウカイイ):顔や姿がたくましく立派なようす