第12章 初めて知る恐怖
時は流れて、実験終了後。
再び暗幕がかけられた薄暗い室内で私はうなだれていた。
「いや〜良くやった!は偉い子だ。リヴァイもきっと褒めてくれるよ!」
私の描いた実験画を大層気に入ってくれた分隊長。
ショッキングな実験の数々に精魂尽き果てた私を激励してくれている。
「君の残す絵は凄いね、実物そのものだ。本当に貴重な人材だよ」
だからどうか、これに懲りずにまた力を貸してくれ。
分隊長はそう言って笑った。
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「あ、教官だ」
実験を終えた私は分隊長と共に蹄洗場に向かっていた。
馬術について教えを請うていた、そんな時である。実験場の敷地内から出た所でライナーに遭遇したのだ。
勿論、その隣にはベルトルトの姿もある。
『お疲れさま。訓練帰り?』
「いや、まだ真っ最中。今日は走り込みなんだ」
ったく怠いぜ。
ライナーが最後に加えた言葉は分隊長に聞こえないよう小声で言っていた。
しかし、ハンジ分隊長には全てがお見通しだったようで。
「基礎体力こそ兵士の宝だよ?新兵諸君、必死に走り込みたまえ!あっはっは!」
その言葉に敬礼で答えるライナー。
別れを告げて走り出すのかと思えば、その口から出たのは全く別の言葉だった。