第12章 初めて知る恐怖
慌ただしい朝はあっという間に過ぎて行った。
ハンジ分隊長に同乗させてもらい実験場に辿り着くと、既に沢山の兵士が集まっている。
中には駐屯兵団の者も居るようだ。手伝いに駆り出されたのだろう。
「じゃあ、君は此処で見た物を有りのままに描いてくれ」
『……分かりました』
分隊長に付いてやって来たのは古い木造の建物だった。
窓には暗幕が掛けられていて外の様子は伺い知れないが、この硝子の向こうに巨人が二体捕獲されているらしい。
「あはは、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ!君の事は我々が全力で守るからさ!」
『え…っ』
「リヴァイの命令だよ。建物内からのスケッチを命じたのもそう。大事にされてるね、姫!」
分隊長はそんな事を言いながら高らかに笑っている。リヴァイ兵長の物真似までしながら。
「“あいつに怪我でもさせてみろ…地獄に落としてやるからな、クソメガネ”だってさ!」
思いの外似ていた物真似に噴き出せば、分隊長もまた嬉しそうに笑い声を重ねている。
「…っと、そろそろ時間だ。私はこれから忙しくなるから一緒には居てやれない」
何かあったら直ぐに護衛の兵士に申し出るんだよ。そう言い残して分隊長は部屋を後にした。