第11章 夕暮れの強制デート
『……どうしましたか兵長。頭でも打ちましたか兵長』
私は冷や汗すらかきながら兵長に食い下がった。
足場の悪い林道をおんぶで帰るなんて無理に決まってる。
というか、問題は其処じゃない。
「バカ言え……俺は正気だ」
『どう考えても異常です』
奇行種ですかアンタは。
思い浮かんだその言葉はそっと胸にしまっておいた。実際に奇行種を見た訳でもないし、言ったらブチのめされる。
絶対。
『何処か具合がお悪いとか』
「いや」
『…あ、分かった!私をからかってらっしゃるんですね』
「違う」
『……本気ですか?』
「ああ、そうだ」
何が何だか知らないが一歩も譲らぬ兵長に、私はついに折れるのだった。