第9章 「来ちゃった」【R18】
どれくらいの間そうしていただろうか。
「なあ…痛かった?」
鼻声で問うジャンは手首に出来た痣に視線を落としている。
『…少しね』
軽く笑って答えると、突然手首に柔らかい熱を感じた。
『⁉︎』
驚いて目を向けると映ったのは唇を寄せているジャンの姿。
一気に上がる心拍数。
みるみる内に頬が紅く染まっていく。
「もう…あんな事しないから」
ジャンは細長く出来た痣をなぞるようにして、いくつもキスを落としていった。
時々加えられる舌先に私は思わず息を漏らす。その小刻みな空気の振動に、ジャンがピクリと反応した。
「ねぇ…先生」
『……っ何』
「俺、ちゃんと優しくも出来るんだよ…?」
軽く触れる程度だったジャンの舌が次第に深くなっていく。強めにキスされた手の甲には別の痣が残っていた。