第2章 調査兵団宿舎にて【R18】
「オルオさん…っ大丈夫ですか⁉︎」
口から血を流す男をオルオと呼んだ青年。言うまでもなく受けを担当していた方が此方にやって来る。
上気した頬が艶かしい。
ピンクベージュの髪がよく似合うイケメンだ。
「ああ…平気だ」
「誰なんです、こいつ」
「知らん。見慣れない装いだ…怪しい奴め」
「怪我を…してるみたいですけど」
私について語る二人は不思議な言語を喋っていた。明らかに日本語ではない。
かと言って英語やフランス語とも違う。
なのに何故だろう、私にはそれらを聞き取ることが出来た。
どうやって息をするのか。
どうやったら腕が動くのか。
それが分かるのと同じように彼らの言葉が理解出来るのだ。
「とりあえず連行するぞ。密偵やもしれん」
「そ、そうっすね…」
「ジャンよ。お前は足を担げ、俺はこっちだ」
言いながら私を担ぎ上げる男達。
抵抗しようにも血を流しすぎたせいか体が言うことを聞かない。
それに、このまま此処に居てもどの道死ぬだろう。私は成されるがまま連行される事にした。