第9章 「来ちゃった」【R18】
『…それで、何をしに来たの』
私は溜息混じりに言ってベッドに腰掛けた。突然の事に驚いたせいか心臓が暴れ回っている。
「先生に会いに来た」
『は……?』
「なんか眠れなくて。俺明日非番だし、だから会いに来た」
ソファで足をパタパタさせながら話すジャン。
随分とリラックスしているようだが、その回答は的を得ていない。
『…質問の答えになってない』
「美人の新任教官に会いたい理由なんてひとつしか無いだろ」
『そんな大人振ったこと言ったって誤魔化されませんからね』
私が咎めるような声を出すと、ジャンは小さく息をついて起き上がった。
ソファに深く腰掛けて此方を見つめている。
「話を聞いて欲しくて来た。先生になら素直に話せると思った、先生なら受け止めてくれると思った……これでいい?」