第9章 「来ちゃった」【R18】
私は慌てて窓を開け放つ。
それに気付いたジャンはパッと表情を明るくして手を振ってきた。
『(こんな所で何してるの……‼︎)』
ジェスチャーと口の動きだけで必死に伝えようとする。
しかし、そう簡単にはいかない。
ジャンは私の口パクに対して「何て言ったの?」とばかりに首を傾げている。
『(兵長にバレたら、殺されるよ…っ‼︎)』
私は兵長の顔真似…眉間に皺寄せて凄むやつ、をしてから喉元を掻き斬るような仕草をした。
このジェスチャーなら伝わっただろう。
しかしやはりジャンには理解出来なかったようで。
「……?」
ジャンは再び首を傾げた後、何かを閃いたかのようにニッコリ笑うと口パクでこう言った。
「(来ちゃった)」