第8章 実験
「だから本当の事を言え…お前を手篭めにしようとした輩に懲罰を与えてやる」
兵長はそう言って重ねた手に力を籠めた。
痛い。
どんだけ強く握るんだこの人。
『お気持ちだけ頂いておきます、つーか痛いんで離して下さい…!』
私も負けじと兵長の手を握り返す。
もはや腕相撲をしているような雰囲気だ。
「強情な女だな…!可愛くねぇぞ」
『…兵長こそ、しつこい男は嫌われますよ…!』
ギリギリと互いの筋肉が軋む。
どちらも譲らぬまま押し問答すること数分。
ガチャッ
「兵長!さん!紅茶の用意が出来まし……って、何してるんですか御二方」
謀ったかのようなタイミングでドアを開けたエレン。その侵入によって私達は握り合った手を離したのであった。