第8章 実験
「安心しろ…手負いの女とヤる趣味はねぇよ」
『なっ…わ、私はそんな…!』
「何かを期待していた様に見えたが?」
『……っ』
兵長のからかう様な視線に頬が紅潮する。そんな私を見る兵長はなんだか楽しそうだ。
「…と、お喋りはここまでだ」
本題に入ろう。
そう言って兵長は厳しい表情を作った。
「お前…その痣は何だ」
兵長が視線を下ろす先には私の両腕。
白いシャツから覗く手首が青紫色に変色している。ジャンに強く掴まれたことで内出血を起こしたのだろう。
『こ、これは…ちょっとぶつけちゃって』
私は分かりやすい嘘をついた。
ジャンとは一度ちゃんと話したい。
その前に彼が処分されるような事は避けたかったのだ。