第7章 意外とお上手な兵長
『リヴァイ兵長』
馬に揺られること数十分。
暇を持て余した私は兵長に声を掛ける。
「何だ…言っとくが髪は触らせねぇぞ」
『チッ』
「…聞こえたからな、ハッキリと舌打ちが」
兵長は明らかにイラついた様子だったがそれ以上は何も言わなかった。
再び訪れる沈黙。
馬が地を蹴る音だけが耳に響いている。
『リヴァイ兵長』
「今度は何だ」
『しりとりしましょう』
「……あ?」
『故郷の言葉遊びです。互いが言った単語の最後の文字を次の』
「黙れ」
勝手に話し始める私を振り返った兵長はこの上なく怖い顔をしていた。
しかし何度も見る内に慣れてきていたので、ちっとも怖くない…ので黙ったりもしない。
『やりましょうよ。絶対楽しいですから、しりとり』
「…チッ…仕方ねぇな」
嫌々ながらも結局は乗ってくれる優しい兵長なのであった。