第5章 兵士とは言え皆年頃の男子
私は渋々教壇に上がるとまずは自己紹介をした。
『えー…この度、本講義の教官を務める事になったです』
皆さん宜しくね、的なことを言おうと口を開いた時だった。
向かって右前方に座る男子兵から突拍子もない質問が飛んで来たのだ。
「彼氏はいるんですかー?」
声の主はクリクリの坊主頭。
名前は確か、コニー・スプリンガー。
『スプリンガー君…講義と関係ない話は』
全く悪気なく顔を輝かせているコニーを諭そうとすれば、今度は左後方から声が飛んで来る。
「堅い事言うなよ先生。なあベルトルト、お前も気になるよな?」
「うん、気になる」
ガタイの良い二人組。
同郷出身のライナーとベルトルトか。
何だろう、凄いグイグイ来るね。
最近の若い子って皆こうなんだろうか。