第5章 兵士とは言え皆年頃の男子
バキィ…ッ
兵長の持っていたチョークが音を立てて粉になる。
隣に着席していたエレンが慌てて謝るよう促すが、時既に遅し。
「上等だクソガキ…表に出ろ、相手になってやる」
目の下の影を濃くする兵長。
無言でファイティングポーズを取るミカサ。
大半の兵士が顔面蒼白になり、一部は興奮気味に目を輝かせている。
「ミカサ、やめとけ!兵長に敵いっこねえだろ…‼︎」
『兵長…あなた方が暴れたら人類に大損害が出ます。色んな意味で』
エレンと私で双方をなだめた結果、どうにか場は収束した。
しかし兵長は完全に機嫌を損ねてしまったようで。
「…後はお前がやれ」
『え、私がですか…?』
講義を丸投げにして教官用の椅子に座り込んでしまった。ツンとそっぽを向いている。
ああ、これはもう何を言っても駄目なパターンだ。